NICUの仕事

NICUとは新生児特定集中治療室の事をいいます。ここでは、予定日よりも早く産まれてしまったり、出産時に何らかの重症を持ってしまったりしてしまった新生児(出生後28日未満の乳児を指します。出生後7日未満は“早期新生児”とも言います。)を受け入れ、保育器や人工呼吸器、心電図等の機器を用いた上で新生児専門医師、助産師、看護師といった専門チームが24時間体制の診療を行います。
五体満足であっても低体重児であったり、妊婦時の母体の影響で先天性の重い病気を持っているという場合があり、母親は産後に無事退院できたにも関わらず子供はそのまま入院という事は少なくありません。
しかも、この割合は医療が発達しているといわれる日本でも約4%程度。平成24年度の新生児数が約103万3000人と言われていますから、内4万1360人がNICUにお世話になっているという事をさしています。
これは決して「少ない」とはいえない数なのではないでしょうか?
そんな中、新生児の死亡率を減らすことに力を入れているのが熊本県。全国でも最悪レベルの死亡率記録を残していることから、県全体で対策にとりくんでいます。
現在、NICU等の医療設備は整いだしたものの看護師や助産師といった医療スタッフが不足していることが原因となり今だ解決の兆しはみえてきていないようです。多くの看護師は都心の求人に集まってしまっているようです。

ここでの仕事は、普通分娩が行われた赤ちゃんへの対応とは違います。常に観察し、ちょっとした変化も見逃しては行けません。
大変なのは、何事も小さすぎるという事。おっぱいを飲ませたくても吸引力がなく、スポイトなどでmm単位でミルクを飲ませたり、細い細い血管に注射や点滴をさしたり、心音を聴くにも身体が驚かないよう暖めた聴診器を当てたり…。
普通分娩で産まれた子達よりも、より丁寧に、慎重に診察や処置をする事が必要になります。
また、赤ちゃんの両親への配慮もとても必要なケアの一つとなります。特に、普通に元気に産まれなかったというだけでお母さんの自責や後悔、不安などはとても大きいもの。家族に責めない言葉をかけるようアドバイスする事も大切ですが、自身も、赤ちゃんも頑張っているという点を強調し、かつお母さんのケアに当たれるよう心がける事が大切です。

仕事がきついと感じるかどうかは人それぞれですが、内容的には神経を使う大変な仕事でも、それと引き換えに大きなやりがいを感じられる素晴らしい仕事だといいます。
先日も400gいかない未熟児で産まれた赤ちゃんが1年かけてやっと退院出来たというニュースがありました。この時のお母さんの嬉しそうな笑顔、「ありがとう」の言葉はなにものにも変えられないものではないのでしょうか?